大人のるる休み

そこそこ大人、中身は子供、時々オヤジ「るる」のずる休み推進日記です。

母の潜在能力を思い知る

試験勉強をするにあたり、英語を学ばなければならない。

高校時代まで英語はどちらかといえば苦手ではなかった。

まあ、英語はちょろっと勉強すれば試験本番にはどうにかなるだろうと思っていたが、模試を受けて撃沈。正答率は20%ほどで、足元にも及ばなかった。

あれ、こんなに忘れているものか・・・・・。しかし数学で時間を取られ、時事問題で暗記に脳みそをジワジワと追い立てられている今、英語を自力で勉強する力が残っていない。

ヤマかけをすべき教科ではない。

 

母に英語の教師をお願いした。

母は、若いころヨーロッパに留学経験がある。

私たち兄弟が子供のころは、近所の子供たちを集めて英語教室も開いていた。

力を借りないわけにはいかない。

参考書はこちら。

 

速読英単語1必修編[改訂第6版]

速読英単語1必修編[改訂第6版]

 

 この本は大学入試や公務員試験の参考書として使用されるとのこと。まあ、私も高校時代は英語は必修としてやっていたわけだし、これを制覇することくらいできるだろうと思った。

現在、朝の8時から9時半まで、徒歩5分の母の家へ行き教えてもらっている。

現在5分の1程度まで進んだが。

全然わからない。普通に難しいけど・・・。

高校の時の自信は藻屑となって消え去った。真剣に母の授業を一字一句逃さぬようフルに脳みそを使って勉強しているが進めば進むほど、スピードは落ち、記憶力は大破する。

合計70例ほどの論文、物語、エピソードなどが盛り込まれた文章読解を目的とした参考書であるが、日に日についていけなくなる。

と、同時に母の英語能力には、娘ながら度肝を抜かれている。

いや、母くらいの英語力のある人は日本中どこにでもいるのだろう。

でも、24歳から専業主婦として生き、御年70歳を迎え、英語を使った仕事はおろか、日常会話でも英語を使用することはない母が、ここまで英語ができるとは思わなかった。

そして、「この単語、文章はよく試験でも出るものだから注意しなさい」のアドバイスが実に的確。本当に試験に出る。

「この単語はめったに使うことがないものだから飛ばしていい」このアドバイスも的確なのだ。

試験にでるものがわかっているってどういうこと?

むしろあんたこの50年近くこの能力を生かさず何をやってきたの?

 

 

そして、一つ一つの文章の内容についてよく知っている。

「このアガサクリステイの話は有名よね」「古代ヨーロッパの歴史の中で、これはね」

歴史認識や文学的なものまで知識が豊富で、余談がうまい。

 

わたしは、ずっとボケ老人に片足突っ込んだ天然ボケ老人などと母をからかってきたし、母も「あははは」なんて笑ってきた。

人間としての感覚は鈍ってきているだろうと思っていた。スマホも使えない、パソコンなんか触ったこともない。運転すらも危なっかしくて基本的にはさせない。

 

でも、母は私の想像をはるかに超えるものをたくさん持っている。

知識量が全然違う。スマホやネットで得る表面的な情報ではない。

 

そして、英語の授業のスパルタもすごい・・・一文を2分かかってただ音読しかできない私のポテンシャルとは比べ物にならない。

まさに速読。読んだだけで文章が頭に入ってくるのだろう。いちいち止まって考えることなどない。

スピードが速い速い。いや、よくそこまで頭切り返せますね。あんたほんとに70歳?

私の知っている天然ボケ老人はそこにはいないのだ。

 

自分の英語力の無さに驚くよりも母の英語・教育力に一番驚いている。

ちなみに、子供のころ、母が英語を教えてくれていた時期があったが、当時のスパルタっぷりも尋常じゃなくて、私は母から教えてもらう英語が大嫌いだった。

母との英語の時間はいつも泣いていたので、見かねた父が「もうやめなさい」と制止してくれたことで、母との英語教室は終わった。

これは兄弟全員が経験していることで、私よりも兄や姉はもっと英語が嫌いだ。

 

当時は当時なりに、母から英語を学ばなかったことには理由があるので、後悔はない。

 

ちなみに、母の若い頃のエピソードは面白い。

デンマークに住んでいる頃は、かの有名な「マリメッコ」でアルバイトをしていた。我が家にあるマリメッコの生地を見て「あら、懐かしい。変わらないわね~」と言ったときに初めて聞いた。

日本で有名になるウン十年も前、母はマリメッコの可愛い制服を着て、店頭に立っていたのだ。

また、日本に帰国した後は北欧の商品を輸入する会社で務めていた。今こそ北欧ブームでいろんなものが輸入されているが、当時は北欧の雑貨なんてだれも見向きもしていないころ。憧れのハワイ航路くらいか。

昔から家にあった何の気なしに(おままごとで使ったこともある)花瓶は、ガラスメーカー「iittala」のものだ。

iittalaのグラスは一度は見たことがあるだろう。

 

 

「お母さん、これiittalaのものなの?!40年以上前のものでしょ?プレミアだよ?」と興奮しながら言うと、「あら、当時は今よりずっと安かったのよ。ほら、ちょっとヒビ入ってるしね」という調子。

某大学の図書館で働いていた頃は、お金持ちのアフリカの国の大使館の人に気に入られちゃってプロポーズされたのよ、でもいやで逃げ回ってたら、偶然ほかの女性と腕組んで歩いてるのを見ちゃってホッとしたわ~という話。

 

この人の人生は、この閉鎖的な北海道の地で専業主婦として終結して

本当によかったのだろうか、と今更ながら憂いてしまう。

 

はてさて、私に残された時間もごくわずか。

母のスパルタ教育に感化されながら、あしたも頑張ります。

試験終わったら、うまいものご馳走しよ。