中学生の頃、友達の部屋にもゲームやテレビが鎮座し始めたのに、私の家は絶対に買ってもらえなかった。
その代わりに私の娯楽はCDとラジオ。
とにかくラジオは小学生から高校卒業まで聞きまくった。朝から晩まで深夜までラジオを聴いていた。
当時ラジオで聴いて、衝撃を受けたのはこの曲
「プカプカ」だった。
西岡恭蔵 『プカプカ』 1971年
これを大槻ケンヂがカバーしたものが流れていて、私は原曲を知らなかったので大槻ケンヂの曲だと思っていた。筋肉少女帯のイメージとはガラリと変わるのにものすごく耳触りが良い。不思議な感覚。
淡くサブカルチャーにかぶれ出す中学生、思春期真っ只中。そういう意味で大槻ケンヂは神だった。(みうらじゅんも)
しかも、歌詞も知らないで耳だけで聴いていたので
「うちのあん娘」の部分は「うちのワンコ」と思い込んでいた。
サブカルチャーの神は飼っている犬を擬人化して歌にしたのか!なんて素敵な歌なんだ…としみじみカセットテープに録音したラジオを何度も何度もリピートして聴いた。
これが大槻ケンヂの歌じゃなく、しかもワンコの歌でも無いのを知ったのはなんと去年。これもまたカーラジオから聴こえた原田芳雄バージョン。
懐かしくて、鼻歌で歌ったら、同乗していた20歳上の上司に「それ、アン娘だぞ」って言われて恥ずかしく驚嘆。
でもの、これアン娘をワンコに替えてちょっと聞いてご覧よ、すっごくいいんだよ、本当にいい。
調べてみると、プカプカはとても色々な人にカバーされているみたいだが、そのメンツがとてもとても良き。どのバージョンでも絶対いいよな、って思える。やっぱ原曲が良すぎるんだな。
サブカルかぶれの時期って忘れられない人物や文章や音楽がいっぱい。ただの憧れだけなのに、なんでもかんでもすぐに夢中になれたあの頃ってすごいエネルギーがあったんだねぇ。
いま、プカプカを聴くと体がとろけるような甘い心地よさがある。出会えて良かった一曲。