作業ヘルメッターのおんな道

肉体労働系レディ(淑女)の徒然です。フリーランスで造園土木の作業員をしています。お仕事と酒があればどこでも飛んでいきます。酒飲み。日焼け上等!

スカウトした女性

今年一緒に仕事をする予定の女性(私より10歳ほど年下)と二人きりで話す機会が増えた。

4月からは二人で本格稼働。今後、険悪になることもきっとあるだろうし、今後の見通しなんて全く無い。人を雇うときの心構えと言うものを初めて真剣に考える日々で、気がついたら彼女のことを考えていることが多くなった。

私が「この子しかない」と思ってスカウトした人材だ。スカウトした時点では全く迷いがなかった。

にも関わらず時間が経つにつれ、勝手に悪い風に達観している自分がいる。

まあ、駄目なら駄目で仕方ないか・・・もし決別するなら早いうちに・・・

これは、自分が傷つかないようにする勝手な思い込みで、相手に対して全く失礼な考えである。良くないよなと思いつつも、どこかで「やっぱり駄目だったか・・・」とショックを受けたくないのでつい気持ちに保険を掛けてしまう。

彼女に今までの話を、聞ける範囲で聞いている。

彼女は出会ったときから自己肯定感が低い女性だった。それは見ているだけでもわかる。にも関わらず責任感は強い。私からするとまさに探していたタイプそのものだ。自己肯定感が低いにも関わらず責任感が強いというのは矛盾している。そこが大事なのだ。

「多分、もともと自己肯定感が低い子ではなかったんだろうな」

彼女の自信を奪ってきたのは全てここ10年間の仕事だった。私がスカウトした職場でもさらに打ちのめされていたのが現実だった。飲食業しか経験したことがなかったことが全ての原因だと思った。飲食業がダメ、と言っているわけでは無い。その世界しか知らないで、流されてきたことがいけなかった。

飲食業を一生やっていく覚悟がないのに、そこから抜け出す勇気もない。これが全ての元凶だ。

「環境が変わればこの子は絶対好転するぞ」と思うとせめてものチャンスを与えたくなった。

私と一緒にすることで彼女の機運が上昇する保証なんて無い。むしろ悪化するかもしれない。しかし、彼女にとって大事なのは、たとえ今後私と決別したとしても「私は他の業種を選ぶ選択肢がある」ということに気がついてほしい。

彼女に質問しているうちにそれなりの自我はしっかり持っていることに気がついた。

「プライドはあるでしょ?」と聞くと、「けっこうちゃんとあります」と答えてくれた。

だよね、それを聞けて良かった。自分の意志に無駄な謙虚さは要らないと思う。

それと同時に20代の頃、もっと友達を作ったり、趣味に勤しんだり、恋人を作ったりしておけば良かったと話してくれた。本当は読書が好きなのに仕事のための自己啓発本ばかり読んでいて時間の無駄だった、なんて話もしていた。

でも、私はメタクソに心をズタズタにされる20代ってのも悪くないと思う。自己啓発本か。(ちなみに私は絶対に読まないタイプ)いいじゃないか、その本に書いてあったことに感化されて一生懸命仕事に邁進していた時間は無駄じゃないよ。

私は、おこがましくも彼女の人生のほんの数ヶ月でも良いから転機を与えられればそれでいい。その方法が自分と一緒に働く、それしかなかっただけだ。

そして、自分が30歳くらいの頃、同じように考えていた時期もあったと思う。そのことも思い出した。一つの職場にしがみついていると、上司によって自己肯定感はズタボロにされる経験を私だってしたのだ。そこから抜け出すまでに6年掛かった。

自分から抜け出せるか、誰かに引っ張ってもらうか、その差は大きいが、願わくば彼女には自分で抜け出す術を身に着けてほしい。そのための通過点で有りたいとは思う。

彼女との仕事は1年しか考えていないことは彼女にも伝えてる。1年やってみて、それでも私と続けたければ私は血眼になって2人分の仕事を取ってくる。でも、本音はこの業種が面白いと思ったら、それなりの会社に入ってきちんとした上司と出会って真っ当な会社員になって欲しい。私では師匠になれるような技術も器もない。

絶対にいい上司と出会うことは必要なのだ。私はその点は幸せな人生を歩んでいる自負が有る。

さて、1年後どうなっていることやら。怖いやら、楽しみやら。

今は思いの外、自身が責任感で押しつぶされそうになっている。

覚悟が足りないのはどうやら私の方みたい。