昔から仕事でお世話になっていた人で、仙人みたいな人がいる。
うまく言葉では伝わらないが、見かけは「私服の真面目な公務員」。中身が「ミニマリスト」とも「究極倹約家」とも言えるような人なんだが、話口調は仙人のような穏やかさ。50歳くらいなのに、達観している。 欲という欲を全てどこかに置いてきた人。
かれこれ10年以上の付き合いになるのだが、当時40代前半だった彼も、多少は欲があった。独身なのだが、彼女らしき人はいたようだし、趣味の登山のために結構しっかり登山ギアを買い揃えていて、それなりの贅沢を自分なりに楽しんでいた。よく1人で飲みにも行っていたようだし、「仕事と趣味の両立が上手い人」という印象だった。
近頃、私が独立したことでお世話になることが多くなり、話す時間も増えたのだが、久々に深く話すと色々達観していた。
前までは毎朝コーヒーを飲むのが好きだったけど、コーヒーは高いし買いに行くのが面倒なので、お客さんからもらったお茶しか飲まない
家に帰って寝るより事務所で5時間位仮眠取ったほうが仕事のパフォーマンスがあがる
外食もコンビニも嫌になっちゃって、昼は車の中でキャンプ道具で昼飯を調理してる
山登りは忙しくて行けないから、仕事の合間に秘境の天然温泉が湧くところに行って足湯してるだけで満足(ちなみに場所は教えてくれない。山奥らしい)
家のものが煩わしくなっちゃって、今はテーブル一つしか無い(洗濯機は職場にある)
なんか、昔よりずっと遠いところに行ってしまったようだ・・・昔いたはずの彼女はきっともういないのだろうな。お酒も飲んでいないらしい。でも、倹約家やケチといった印象が全く無い。本当に無駄なものを少しずつ丁寧に消去していってるような。意識してやっているというよりも「あれ、これもしかして要らないかなあ」みたいなことをコツコツと減らしているようだ。その分昔より仕事の時間は増えてるようだが、彼自身が社長みたいなものなので、自由に楽しくやってるよ、というスタンス。
そしてなにより今まで出会ったことがないレベルで男っ気が無い。どこで削ぎ落としてきたんだってくらい無い。実は高学歴で名門大学を卒業しているのだが、全くその雰囲気を出さない。本当に賢い人ってこういう人なんだろうな。
クレカと銀行の還元率とかものすごく詳しくて、隙がない。会社と自宅はネットを繋いでないので近くのマクドナルドの駐車場にパソコンを持っていってフリーWi-Fiで仕事をしている。(マクドナルドには入店してない。いや、たぶんこれはダメだろ・・・)
そして、お客さんの心を掴むのがとても上手い。話し上手というか、聞き上手を極めたような人。褒め上手だし、情報量おかしくない?ってくらいいどんな話題にも返答できる。特に女性には本当によく好かれる。失礼だがイケメンじゃない。体も小さく細い。やっぱり見かけとかそういうことじゃないんだろうな。私も彼は憧れの人だもの。
こんなタイプの人は明日死んでもきっと後悔ないんだろうなあ。
とおもって「長生きしたいですか?」と聞いてみたところ
「めちゃめちゃ長生きしたい。120歳くらいが目標で100歳まで働きたい」
そこはめちゃくちゃ貪欲だなオイ。「イヤ、願望つよっっ!!」って突っ込みました。
表面は浅く見えるのに、底が深すぎて不思議な人。