作業ヘルメッターのおんな道

肉体労働系レディ(淑女)の徒然です。フリーランスで造園土木の作業員をしています。お仕事と酒があればどこでも飛んでいきます。酒飲み。日焼け上等!

読書レビュー「メディアは死んでいた」

「メディアは死んでいた」 著者 阿部雅美

 

近頃ブログの更新が出来ていなかった。この本をじっくり読みたかったのと、とあるサイトでライターの仕事をしていたためそちらの記事を書くのに時間を要していた。この本は全てが「北朝鮮拉致問題」だ。なぜなら、1970年代に謎の失踪を遂げたカップル(当時の表現でアベック)の事件を、いち早く「これは外事なのでは・・・?」と記事にしたのが、この著者 産経新聞の阿部雅美氏だったのだ。

今となっては、北朝鮮拉致のことを知らない日本人はほぼいないだろう。しかし、1970年代〜1980年代は誰もが「北朝鮮によって日本人が誘拐される」ことなど考えもつかなかったのだ。そもそも「拉致」という言葉すら、常用漢字として認められていなかったので当時の記事の記述は「ら致」と書かれている。

現代の捜査能力を警察が持っていれば、もしかしたらもっと早い段階で動きが変わっていたかも知れないのだが、著者が嘆いているのはそこではない。マスコミ各社がこのことを「完全スルー」していたことに大きな問題があったということだ。著者の阿部雅美氏ですら、社内の部署異動により何年も「拉致問題」から遠ざかり、調査をおざなりにしていたことを心から悔いている。

ただ、意図的に各社が当時「北朝鮮拉致問題」をスルーしていたのではない。まず本当に北朝鮮による拉致かどうかの確証をとれる証拠が無かったことと、みんなどこかで「北朝鮮がそんなことするわけがない、理由がない」というのがあったからだ。後にスパイ容疑で逮捕されたものの証言や、金賢姫の証言のおかげで「北朝鮮拉致」の問題が表沙汰になる。それまで、20年以上日本中から放置されてきたあまりにも悲惨な事件の数々だと憂鬱な気持ちになる。

私は、年に数度か「特定失踪者問題調査会」をインターネットで見て、失踪者のリストを眺める。自分にはどうしようもないことだけど、忘れないために何度か見ておきたいと思うのだ。横田めぐみさんの事件は何度読んでも悲しくて可哀想で、涙が滲んでくる。

この本を読んで、北朝鮮スパイの著書を併せて読みたいと思った。私にはまだ拉致問題に関して知識が全く足りてないと思わざるを得なかった。

しかし、この本を読むことで、北朝鮮の「背乗り」の実態や、スパイ、密輸船を陸上させる地点など細かいことを掴むことが出来た。これは本当に読んでよかった。

今後も「北朝鮮拉致問題」について決して忘れることなく、様々な文献を読んでいきたいと思う。